コーヒーの生豆は薄いグリーン色をしています。この生豆を焙煎する前にトレーに出して取り除くべき豆を探します。
たとえば変色しているものは見れば分かります。不良豆です。
他に未熟豆なども焙煎した後ではなかなか分からないのでしっかり取り除きます。
これをハンドピックといいます。手間が掛かるので大手のコーヒーメーカーではやっていないでしょう。なにせ一日に何トンもの焙煎を行うのに価格は安価が求められますから。
取り除いたら本当に美味しくなるか?
それは不良豆だけでコーヒーを淹れて飲むと納得できます。マズイです。確かにハンドピックは美味しさに効果がありました。
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手間ヒマを惜しまない。地道な作業が本当の味わいを醸し出す。
ひるがえってライディングスクールです。たとえばKRSではUターンやブレーキといったテーマを絞り込んだ講習もやっていますが、受講生のバイクの特性差が大きく、受講生のスキルの差はもちろん体格や性格も勘案してアドバイスをしなければなりません。一律に教えていいことと、個別に教えるべきことが、常に不規則なタイミングで目の前につき出されますが、瞬時にそれを最適タイミングで言葉を選んで伝えなければなりません。
ライディングレッスンの場合は、小さなコーヒーマメを焙煎する前からの仕事、と言う訳には行かないので、コーヒーにはない難しさがあります。ついてしまった手強いクセはあたかも「不良マメ」のようですが簡単には削除できないのです。となると何度も繰り返し受講していただきたいと思うようになるのです。ですが、受講費用もかかります。時間もおいそれと調整できない。でも、安全になって欲しい。上手くなって、自由に空を舞う鳥のように羽ばたいて欲しい。
そんな人のために力み過ぎて一度にたくさん詰め込むとダメです。失敗します。お腹いっぱい飲むとかえって逆効果になることも。反対にコーヒーを薄く薄く煎れるような教え方も一方でできない。ちゃんとした味がないと、やる気を起こしてくれない。だから簡単ではありません。
そんなこんなの毎日が続くKRSです。講習をしていない日もKRSです。
簡単ではないけれど、一人でも安全という素晴らしく深いダイナミズムを実感していただきたい。そんな思いで
今、KRSは暖かな春うららな日を、強烈に眩しく照りつける暑い夏の日を、身も心も洗われるような清々しい秋の日に思いを馳せています。