柏 秀樹 OFFICIAL BLOG
ヒデキの部屋

  • ひとりごと…

ウインカーポジションランプ

アクセルはハンドル右側にはなくて左側にあるものもあった。それはソバ屋の出前のための実用化されたものだった。スーパーカブの左側アクセルだ。これなら右手で蕎麦100枚でもオッケイか?ともあれ、アクセルは手前に回すと加速する、という常識は考え方によっては合理的ではないかもしれないとその理由を前回に書いた。

で、今回はウインカーポジションランプ。日本だけではなく、世界中のバイクがこの方式になって欲しい。これは一部の日本製バイクがやっていたし、今でもちゃんとセットされているバイクがある。CB400SF、CB1300SF、CB1100、VFR1200Fなどだ。フロントウインカーがヘッドライトとともに常時点灯するのだ。左右に曲がるときにウインカースイッチをオンにすると片方が点滅する方式になっていて、基本的に外国製輸入車や日本製輸入車はこれがセットされていない。この方式は日本国内のローカルルールであり、しかも義務でもないのだ。私の記憶が正しければ日本製ではホンダが250cc以上のバイクを原則としてちゃんとこれを装備している。他社は以前にやっていたが今は装備していないものが多い。

ではなぜこれが必要か。ヘッドライトの補佐としてとても安全に貢献でき、機能的であるからだ。ヘッドライトは乳白色だったり、HIDの白だったり、色温度が高いために日中ではかえって周囲に融け込みやすい。ところがウインカーはオレンジ色で遠くまで光が届きやすく、朝夕の逆光や夕暮れ時、あるいは霧や雨の中でも周囲から確認しやすいというメリットがある。もしもヘッドライトのバルブが夜間に突然切れたときでもウインカーポジションランプがサポートとして機能する。

また、ウインカーポジションランプは左右離れてセットされているために対向車などから大きく見えるというメリットもある。たとえばゴールドウイングとかVFR1200Fほか最近はあまり見なくなったアフリカツインなどはかなり目立つ位置(ウインカーの左右の間隔が広くて高い位置!)にウインカーポジションランプがセットされているので、周囲が見落としにくい。安全性を高めるためになくてはならない装備だと思う。

ところがこれをセットすると消費電力が増える。そのために発電容量を増やさないといけないが、なかなかこれが大変らしい。キャブレターから電気を消費するインジェクション式に移行したことがその大きな理由のようだ。でもホンダはこれをちゃんと継続してやっているんだから、他社ができないわけがない。要はどこで妥協するか、しないか、なのだ。

もちろんウインカーポジションランプがあれば絶対に安全かというとそんな保証はない。でも、できるだけ目立つようにしておくことが大事なのは誰でもわかること。

さて、ちょっとマニアチックな話になるが、このウインカーポジションランプはホンダ・スズキ方式とカワサキ・ヤマハ方式では作動が異なるのだ。ホンダとスズキはウインカーポジションランプが点灯したまま、ウインカースイッチを右に入れると右のウインカーのみ点滅する。反対側は点灯したままだ。対するヤマハ・カワサキ方式はウインカーポジションランプが点灯しているときに右にスイッチを入れると両方のウインカーがいったん消えてから右側が点滅し始める。

理論的にどちらが優れているかという言及はここではしないが、そんなことよりも消費電力が多いのなら周囲からよく見えるLEDランプにすればいい。光の指向性は強いけれど、それもよく考えて製作すれば良い。といってもこれもコストが高い。すべてコストとの闘いになってしまうようでなんだか寂しい話になるが、ユーザーがこういったことを自由に選択できることが重要で、だから社外品というのがあるのかもしれない。でも、信頼性では今ひとつだったりするし、やっぱりメーカー純正で選択できるといいなと思う。