柏 秀樹 OFFICIAL BLOG
ヒデキの部屋

  • ひとりごと…

桜前線と一緒に気分もテクもアップしちゃおうよ!

究極のシンプルバイクの筆頭が写真のスーパーカブだ。これは輸出用のかなり古い車両でエンジンがOHV式からOHC式になってほどない頃のものだが国内仕様とは走りの差はない。とても乗りやすい究極のウエルバランスバイクだ。しかし、そんなバイクでも公道で事故は起きている。残念だけどそれが事実だ。
例えばハイテク満載のスーパースポーツ車に乗れる人が、このスーパーカブを走らせたら滑らかに乗れて、低い速度でもバランスが取れるだろうか。
かなり昔のことだけど、今も大して変わらない状況と思うから書くけど、バリバリの高性能スーパースポーツがたくさん集まるイベントに招待された時だった。雨で寒くてテンションが下がりっぱなしの雰囲気でイベントは始まった。

ひとしきり挨拶が終わったところで「さあ、今からこの小型スクーターで遅乗り大会をします!」とMCが言い出した。最初にこれで場を盛り上げようと言う魂胆か。
「ではゲストの柏さんに、見本を見せてもらいます。解説もお願いします」といきなり振られて、もちろんやりましたとも狭い場所でのジミーな走りと解説を。だって遅乗りを派手になんかできませんもの。そもそも派手な走りはできないし。
地味に走るから、解説も大げさなことは言えません。パッと見ればすごく簡単そうに思えたことでしょう。
スルスルではなく、ジンワリと止まっているわけでもないけど走っているわけでもない。
わかりやすいように悪い例も見せた。こんな風にやると失敗するよ、と念を押した!
で、実際に遅乗り大会がスタート。参加希望者が1台のスクーターに取っ替え引っ替え乗って次々にトライした。
みんなバタバタしてしまって思うように乗れないためか会場は一気に盛り上がった。誰もアッパラパーのパー。
スクーターの50なんて簡単なはず。大半がわずか5メートルを走りきる前にバランスを崩して足を着いてしまっている。5メートルを無事に完走しても相当なエネルギーを消耗した輩もいた。
軽量級のスクーターで自動遠心クラッチだから幸いエンストも爆走急発進による転倒はなかったのが救いだ。

私が教えたことなどゼーンブ忘れたのか、聴いていなかったのか、まあ、頭でわかっても実際に乗ったらダメダメ。
大半は力任せに乗っているためか左右に車体はふらつき、しかもアクセルをブイブイしちゃっているし、ブレーキ操作もガツガツ。なんのためにハンドルバーがあって、ステップフロアがあるの?
それってバランスが一番とれない乗り方なのよね、と口が出そうだったけど黙って見ていました。

ハイスピードライディングができても、実はそれ、勢いで走っているバイク任せの典型。ダメじゃないですよ、もちろん。
でも良くはない。なぜかと言うと、そんなことでは最先端のハイテク満載バイクでも、その機能は引き出せないどころか、むしろアダになってしまうことが多いからね。知ってます?イマドキのリッタークラスのスーパースポーツって1速で一気に200km/hの世界へ突入なんですよ。

えー私ガァ、事故、事故、事故は怖いです。みんな気をつけてね!などと選挙みたいに連呼していると、私がやっているスクールはつまんないのかなと思われるかもしれないけど、実は逆です。ギャグではないです。
基礎の練習はとっても実用的で、ちゃんとスムーズになって、ちょっとした無理をやっても臨界点までに自分を制御し、どんなにうすらでかいバイクでも、どんな場所でも制御できるようになるからね。
結果的にスピードが好きな人は、それでますます安全安心が手に入って、好きなようにパワーが楽しめると言う算段。
飛ばさない人はますます滑らかさを手に入れて、自分の走りにウットリしてしまうよ、きっと。

2019年。季節はまさに春。桜前線がこれから日本列島をゆっくり北上していく。
どうか、これを読んでくれた貴方。
綺麗な花を咲かせてください。                      KRSでお待ちしています。