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ヒデキの部屋
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ひとりごと…
新作タイヤ:ロードテックZ8インタラクト、いいよっ!
70年代からずっとメッツラーファンで、13万キロ目前の愛車タイガーにもずっとメッツラー(ツアランスEXP)を使い続けている私だが、メッツラーが好きな理由は癖のない操縦特性、乗り心地や耐久性、ウエット性などトータルバランスに優れている点だ。ついこの前にデビューしたスポルテックM5の走行テストに感動しながら、今回デビューしたばかりのロードテックZ8インタラクト(以下、Z8)をテストして再び感動してしまった。
Z8は秀作と言われたZ6の後継タイヤだが、M5よりもツーリング指向のタイヤ設定だ。常識的に言えばスーパースポーツ車にはM5。ツーリングスポーツ車にはZ8というイメージになるのだが、結論から言えばスーパースポーツ車にもZ8をお勧めしたいほど。一般道、それも初めて利用する先の読めないワインディングや気温、天候など条件の厳しい道になるほどZ8はM5よりもさらに安心・快適でより楽しく走れるからだ。それでもスポーツ指向が強いならM5。どんな時でも安全安心でワイドな対応を望むならZ8、という解釈がいいだろう。
M5は継ぎ目なく特性の異なるコンパウンドを配置するメッツラーだけの技術NMC(ノンステップ・ミクスチュア・コンパウンド)、タイヤ剛性を無段階に制御できるMMW(メッツラー・マルチ・ワインディング技術)、タイヤの素材特性を活かすために最適なタイミングで混ぜ合わせるメッツラーだけのDSM(ディファレント・ステージ・ミキシング)、そして排水性を向上させるπデザインのトレッドを採用したが、Z8はこれに加えて新開発のナノスケール・コンパウンドを導入している。1ミリの1000分の1というナノ技術を導入することで粒子の数を増やし、発熱しやすいタイヤとした。たとえばウエットでのグリップ性を大きく左右するシリカ配合をZ6の50%からZ8では80%へとアップさせている。通常のタイヤではタイヤが摩耗すると一気にシリカ成分を失うことになるのだが、Z8では新品から摩耗限界まで変わらぬ性能が維持できる点が特徴という。
実際に一般道の雨の中や、閉鎖されたウエット路面コースでのテストで、フル加速、フルブレーキ、コーナリングで抜群の安心感を得た。常に高い接地感が前後タイヤから伝わってくるのだ。いずれも相当寒い外気温でのテストだった。高速走行時では直進安定性の高さも実感した。前輪タイヤのハイトを上げたことも関連しているのだが、段差越えなどの衝撃:ハーシュネス性が優れて、外乱から影響を受けにくいためだ。結果として手に伝わるショックも少ない。この改善率は5%というが、ツーリングユースではこの直進安定性としなやかな乗り味が低疲労を生む大きなメリットになるに違いない。ウエット路面で印象が良かったのはπデザインというグルーブ(溝)設計も関連している。排水性を高めつつ接地面を8%アップさせたことが効果を出しているのだ。
タイヤプロファイルはZ6よりもラウンドした形状になっているため、倒し込みが穏やかにできる。この洗練された操縦性ならビギナーがビビることもないだろう。だが深いバンクになるとグイグイ曲がるようにMMW技術でベルト張力を巧みにコントロールしているため、腕に自信があるライダーは予測不能なタイトコーナーでも、さらに安心で楽しい走りが実感できるだろう。
メッツラー(イタリアのピレリと経営母体は同じだが、技術は完全分離)はドイツの老舗らしく、モノ造りが非常に論理的。高い理想を設定し、理想を得るための戦略を立て、具体的に技術を創造する。そして多くのライダーが体ですぐに実感できる作り込みをしている。2009年からわずか2年間で5種類もの新タイヤをリリースしてきたのは、それだけ技術的な蓄積が豊富で、企業活力が旺盛な証拠だ。Z8は使用環境を広範囲にカバーしなければならない難しいジャンルのタイヤでもあるが、試してみる価値があると思う。
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