柏 秀樹 OFFICIAL BLOG
ヒデキの部屋

  • ひとりごと…

ウインカースイッチ機能とその形状

ウインカースイッチについて、雑誌記事などでさんざん書いてきたが、いろいろとメーカーの判断があるだろう。単純に批判のための批判など意味がないと思っているし、感情論でもなく、常に何がベストなのかを考えるのが面白いからひとつの提案として、コラムなどに書いている。今回はウインカースイッチの位置を取り上げたい。写真はウインカースイッチがホーンボタンの上にセットされているタイプで世の大半がそうであった。で、ホーンよりもウインカー操作の頻度の方がはるかに多いので、ウインカースイッチが下でホーンがその上であれば、という提案をメーカーにしたことがある。以前から一部の外車がそうであったし、新型のVFR1200Fもそうなっている。慣れないと「使いにくい」という意見もでるが、初めてバイクに触れる人が、最初からこの位置で走行して慣れていけばこれがスタンダードになる。で、すべてのメーカーが同じタイミングで一気にスイッチ形状を統一することはできないので、結局、ユーザーがそれぞれのバイクに合わせて扱うことになる。バイクはクルマよりも運転が難しいから、本当は世界基準で統一したウインカースイッチを作るのが理想なんだろうけど、やはり習うより慣れろ、という図式になってしまうのだろう。

最近ではBMWがウインカーのスイッチ形状を日本車のように変更してきた。それまでのBMWの上級モデルは右に曲がるときは右のスイッチを押し、左の時は左のスイッチを押すというように合理的にできていたが、これを止めた。とても理論的で形状も優れていると思っていた。ウインカーのキャンセルそのものは右親指を上に押してのキャンセルでスロットル操作中にはやりにくい一面もあった。オートキャンセル機構がBMWも標準化されてその煩わしさは軽減していた。そして新しいBMWシリーズは日本製と同じように左の親指操作のみによるスイッチに変わった。しかし、ただ変わったのではないところにBMWらしさがある。スイッチのストローク量が短く、しかも位置が良く節度もあるので入力が素早く正確にできるのだ。一見すると日本車的に見えても実は彼らはその先を見て作ったことがわかる。つまり、退化していなかったのだ。ちなみにHDは昔から右折ならハンドル右のボタンを押す方式だ。反対側なら反対のボタンを押すわかりやすい設定でしかもウインカーのキャンセルは自動というもの。強いていうならそのボタンがそれまでのBMWにように押すスイッチが奧の方にセットされていると、ハンドルを握る親指の移動量がもっと少なくて済む。ハンドル位置が基本的に高めにあるのが多いHDだから、スイッチの奥行きはアバウトでも大丈夫だが厳密にいえば半分ほどエルゴノミクス、しかし、ゆったりした北米大陸育ちだからシビアには考えずにここまで来たのではないかと思うと半分ほどアバウトな作りといえる。

もうおわかりだろう。つまり、ウインカースイッチ形状というのは常にハンドルを握ったままに近い状態でウインカー入力できるものが理想なのだ。もっとわかりやすくいえば親指の移動量が少ないほど理想。しかも親指というのは基本的にモノを握ったり、押したりするのが得意で、親指の先を左右へ動かすのは得意ではないことまでわかっていたい。

それとオートキャンセル式ウインカーの必要性を普段から説いているが、厳密に言えばスイッチの形状やスイッチの配置場所とは別の話。それはまた、いつか触れてみたい。e383ade382b1e38383e38388e3838fe383b3e38389e383abe382b9e382a4e38383e38381